for student

学生のみなさまが、いまよりちょっと楽しく賢くすごせるように

無謀な夢ーフィクションを書くー

やっぱ無理でした。

 

私にフィクションがかけるのか。人類永遠の課題と思われ、フェルマーの最終定理とその座を争ってきた「フィクションがかけるかどうか(それっぽいイントネーションでいえば何となくそれっぽく聞こえます)」。人類がこの問題の解決をどれほどの間待っていたであろうか。今週からの連載で、その答えが出るかもしれない。人類が夢にまで見た、問題の答えが出るのです。

先週大好評だった「夢の学校」 皆様の声に答え、連載することが決定しました。そのときは、頭にぱっと浮かんだものを適当に書いていただけですが、今回は、主人公の「川口義弘」と一緒に、夢の学校を想像していきたいと思います。これまでノンフィクション一辺倒だった私の、文章力をご覧ください。

なお、登場人物や文中の固有名詞は、実在のものと一切関係はありません。この物語はノンフィクションです。

 

第1章「旅立ち」

義弘は、驚いた。 「受験科目:英語・調理・体育・面接」 受験を一年後に控えた中学生にとって、受験というのは不安以外の何物でもない。中学3年生への進学を前にして、念願であったスマートフォンを買ってもらった義弘は、ネットサーフィン中に、そのニュースを見つけた。

勉強が退屈なのは、義弘にも同じだ。学校に、勉強好きがいないわけではない。なぜそんなにテストが溶けるのか義弘には全くわからないような人もいる。義弘自身、特段不良というわけでもなく、天才というわけでもない。ほかから見ると明るすぎるかもしれない。非常に積極的な人間だ。でも、テストの成績がパッとしないのは、自分でもわかってたし、親や塾の先生からも散々言われたことだ。趣味は料理。みんなスポーツが出来て、かっこよくて誰かと付き合っている人も多い。義弘の料理のセンスなど誰も見向きもしなかった。いや、どちらかと言ったら、料理のセンスに気づくほうが不思議だ。学校の調理実習なんて、つまんないことしかしない。そんなことは誰だってできる。

その唯一といっていい義弘の特技「料理」が受験科目にある高校があったのだ。その名を「ベアマン学校」といった。その内容を調べていくうちに、夕焼けで薄暗くなってきた外の景色とは対照的に、義弘の心は、なんともいえぬ、暖かく明るいものに包まれていった。

詳しく調べると、「ベアマン」という企業が経営していて、授業料はかからず、全寮制らしい。全寮制というと、ホームシックになる人も多いだろう。場所も、家から近いとは到底言えそうにないところにある。でも、それが良かったのだ。中学校を卒業し高校生になる、いわゆる年頃の男の子だ。親から離れたくもなるだろう。

義弘の中に、この喜びをみんなに分けてやりたい気持ちと、自分だけの宝物にしたい気持ちが交互に現れた。あれこれ迷った末、明日まで考えようと思い、いつもどおり、塾へ向かう準備を始めたのだった。

次は担任だ。今日は面談の日だ。厄介な生徒だと思われるだろう。

ベアマン学校は、千葉県の沖合に作られた学校らしい。メガフロートという工法で作られている。これは、大きな浮き輪みたいなもので、大きな浮き輪の上に、学校やベアマンの本社などがあるらしい。当然浮いているわけだから地震津波は通過していってくれるだろう。楽観的な考え方だろうか。

担任に言った。 「受験科目は、体育と調理と面接です。だけど、受験は1週間くらいかけて行われるので、その分学校には迷惑をかけますが、あとは、普通の高校と変わんないと思います。」

たしかに、学校では、そんな遠方の格好に受験した生徒など他にいない。資料もなく様々なことで手間取るだろう。それも学費が無料とかで複雑なことも多いだろう。同じ学年には自衛隊の学校に行ってかなを稼ぐというやつもいるが、それとこれではわけが違う。

「なぜ、その格好に行きたいの?」 そう聞かれて、正直困った。これといって理由があるわけどもない。体が勝手に惹かれちったのだ。 「自由さです」 とっさに答えた。自由な校風であることは事実だ。制服は存在せず、校則も存在しない。成績も出されなければ、停学もない。ただし、退学はある。

こうしてなんとか親と担任の了解はとれた。 あとは、受験勉強をするだけだ。

しかしこれといって受験勉強としてすることもない。趣味の料理は続けたし、運動も続けた。

 

第2章「進歩」

あくる日の朝も興奮が冷めなかった。義弘は、友人を誘おうと考えた。いわゆる典型的な「一人でいる不安」が出てきたのである。現代の子供たちは人と同じ事をしたがる。義弘はそこまででもなかったが、一人で、それも得体のしれぬ学校に身を投じるのは勇気がいるものだ。

今日見てはじめてわかったことがあった。 「高大一貫校」なのだ。義弘も中学進学時には、中高一貫校も考えた。けど、最終的には塾の先生の助言で、家からも近い公立中学校にしたのであった。しかし、田舎に住んでいたこともあって、家から学校が近いとはお世辞にも言えなかった。毎朝、6時半には出発し、片道30分の山道を、眠気と闘いながら歩くのであった。ときどき、目をさましてくれるものもいた。スズメバチとかさる、たぬき・・・。動物に対する恐怖心が強い義弘にとっては、それらは厄介者でしかなかった。心を落ち着かせて学校にいくというのが切実な心の叫びであった。

思うように結果が出ない中でも、義弘はバスケットを続けていた。小学校から続けているのだが、中学校に入ってからずっとスランプのような感じで、上達というものが感じられなかった。中学生の部活で、一番の大会は中体連である。しかし、義弘は中体連の1ヶ月前に、肉離れを起こし、直前の練習をすべて棒に振ることになる。しかしそれを知らない義弘は、毎朝の朝練には、キッチリと参加するのであった。

中学生にとって休み時間の会話は、何よりも楽しいひと時だ。そこで義弘は昨日の話を持ちだした。 「荒手の詐欺だよ」 「そんな学校ねぇ~よ」 「バッカじゃねーの」 結果は散々だった。誰も信じようとしない。というよりかは、まじめに受験に備え勉強している皆々にとってはおせっかいな話にしか聞こえなかったんだろう。

そんななか一人だけ、話を聞いてくれた。同じクラスで親友の藤岡慎二だ。彼もまた勉強をめんどくさがり、趣味に走っている一人であった。慎二の趣味は、運動と読書。あまりにかけ離れた2つで驚くかもしれないが、本当なのだ。勉強嫌いということもあり、お互い気があっていた。慎二もその話に興味津々だった。もちろん話は進み、一緒に行きたいな、と話していたら、5時のチャイムが聞こえた。学校からは全く反対方向であるそれぞれの家へと歩みを進めた。

 

第3章「理解」

夕暮れ時だ。世間ではこの頃天体ショーだかなんだかと騒いでいるが、それどころではなかった。

多くの人が言うように、「ベアマン学校」が、自分を騙しているのではないのか、俺は騙されているのではないのか。そう思うことがなかったわけではない。不安がなかったわけではない。どちらかと言ったら不安の塊であったといったほうが正しいかもしれない。

そんな義弘の唯一の支えは、慎二だった。陸上部の彼は、顔から足まで全身焼けており、将来皮膚がんにかかるのではないかと何回も思ったものだ。足の速さでは義弘とは比べ物にならないほど早かった。陸上部だから当然といってしまえば終わりなのだが。ただ、運動バカというわけではなく、短く着られた髪の毛の下には、ありえないスピードで動くヒューマンCPUが隠されていた。しかし、慎二は、その頭脳をうまく使えているようには思えなかった。むしろ、勉強以外のことにしか使っていなかったという方が妥当だろう。

同じ学校に進みたい2人は、同じ悩みを抱えていた。どうにかして了解を取り付けなくてはならなかった。

義弘の好きな歌「生きてる生きてく」の歌詞によると 「そうだ僕は僕だけで生きているわけじゃない」 最低でも、両親と、担任の同意はどうしても必要だった。

思ったより親は、単純だった。 「この学校は、学費もかからないし、大学受験の心配もない。全寮制だから親に心配をかけることはないよ。それに、まともにやってたら『ベアマン』の会社員になれるんだから。」

ベアマン、とは、日本で作られたベンチャー企業の一つで、この頃白物家電業界で急速に存在感を増していた。

バスケットでは行き詰まっている義弘だが、運動神経は悪いわけではない。50メートルは6秒台、駅伝の練習では、学校選抜には惜しくもなれなかったものの最終選考まで残った。バスケット以外にも野球やサッカーなどいろんなスポーツをするのが好きだった。これも、ベアマン学校に行きたがるきっかけの一つだ。そう、受験科目に運動があるのだ。

運動をしていく上で、義弘の欠点は、体の硬さだ。体力テストではA判定をかろうじでとるが、長座体前屈が良ければ余裕のはずだ。小学生の頃はバスケットの監督にきっぱりとうまくならない理由を言われた。 「体が固いからだ。」

一応風呂の後に柔軟をやったりして入るが、続かないし、結果として現れない。そうすると他の種目の練習をする。体がもっとかたくなる。悪循環だ。

しかし受験への準備は整いつつあった。 詳しい日程も分かった。1日目が調理の試験。2日目が体育、3日目から7日目までは、生活検査らしい。

生活検査では、面接の他に、そこで初めてあった人たちと5日間暮らすらしい。学校にいるだけでなく様々なところを周り、その行動をくまなくチェックされるらしい。倍率も高くなりそうだ。

倍率が高いのは他の理由もある。他の高校の受験とはかけ離れた12月に行われるため、落ちても、他の普通の高校を受けて合格すれば何ら問題がない。普通の高校生活を送るだけだ。

義弘は自分の進む道を夢見ながら、適当に歯を磨き、ベットに向かうのであった。